スーツの基本的な種類

まずは、スーツの基本的な種類として、代表的なスーツスタイル、シングルブレストとダブルブレスト、ツーピースとスリーピースについて見ていきましょう。

ブリティッシュスタイルとイタリアンスタイル

スーツには、大きくブリティッシュスタイルとイタリアンスタイルという2つの定番スタイルが存在します。

ブリティッシュスタイルは、英国紳士をイメージさせる伝統的かつ正統派なスーツスタイルです。コシがある固めの生地や、厚めの肩パットが入ったショルダーラインなどが特徴で、厳格さや重厚感を感じさせます。

一方のイタリアンスタイルは、ブリティッシュスタイルとは対照的に、柔和で軽やかな雰囲気が特徴。薄めの肩パットが用いられるなど曲線的なシルエットで、セクシーかつエレガントな印象です。

日本で作られるスーツも、ブリティッシュスタイルやイタリアンスタイルから影響を受けている場合が多いです。

また、上記のイギリス・イタリアのスタイルのほか、「Brooks Brothers（ブルックスブラザーズ）」に代表されるようなアメリカントラッド（アメリカントラディショナル）スタイルも存在します。

シングルブレストとダブルブレスト

シングルプレストは、ジャケットの前ボタンが縦一列に配置されたスーツで、定番かつスッキリとした印象が特徴です。

ダブルブレストは、ジャケットの前ボタンが縦二列に配置されたスーツで、クラシカルかつ重厚感がある雰囲気が特徴です。

ツーピースとスリーピース

ツーピーススーツは、ジャケットとスラックスの2点セットのことで、もっとも一般的なスーツの種類です。

スリーピーススーツは、ジャケット・スラックス・ベストの3点がセットになったスーツで、三つ揃えとも呼ばれます。

スーツのデザイン（色・柄）

スーツに使われる生地にはさまざまな色柄が存在し、そのデザインによって与える印象も変わります。

次は、スーツのデザインに焦点を当て、主な色柄を見ていきましょう。

スーツの色

さまざまな色のスーツがありますが、なかでも定番とされているのが、ネイビー・グレー・ブラックの3色です。

とくに、トーンが暗めのダークネイビーやチャコールグレーなどはダークスーツと呼ばれ、フォーマルからカジュアルまでさまざまなシチュエーションで着用できます。

このほか、ベージュ系やブラウン系、ブルー系やグリーン系などのスーツも存在します。

スーツの柄

スーツは生地の色だけでなく柄によっても印象が異なります。

代表的なスーツの柄としては、無地（ソリッド）・ストライプ・チェックの3タイプが挙げられます。また、ひと口にストライプやチェックといってもさまざまな種類が存在します。

基本的には、無地がもっともフォーマルで、柄が目立つほどカジュアルな印象が強くなります。

スーツの仕様（ディティール）の種類

スーツのパーツの細かな仕様（ディティール）にもさまざまな種類が存在します。

スーツの襟（ラペル）の形状

ノッチドラペルはジャケットの定番の襟型で、主にシングルスーツに用いられています。

ピークドラペルは、下襟の先が上向きに尖っている仕様で、主にダブルスーツに用いられています。

このほか、タキシードなどに用いられる「ショールカラー」や、ラペルが存在しない「ノーカラー」のジャケットもあります。

ジャケットの前ボタンの数

スーツのジャケットの前ボタンは、主に1つボタン、2つボタン、3つボタンの3種類が存在します。

1つボタンは、タキシードなどのフォーマルスーツに用いられることが多い仕様で、胸元が広く開くため華やかな印象です。

2つボタンは、もっとも一般的な仕様で、多くのビジネススーツに採用されています。

3つボタンには、3つのボタンすべてが見えている状態の通常タイプと、一番上のボタンがラペルで隠れている段返りタイプがあります。

ジャケットのベントの種類

スーツのベントとは、ジャケットの裾にあるスリット（切れ込み）のことで、購入したばかりのジャケットは×のしつけ糸で留められています。

後見頃の中央に切れ込みが入った「センターベント」と、後見頃の両サイドに切れ込みが入った「サイドベンツ」の2種類が一般的ですが、切れ目が入っていない「ノーベント」も存在します。

ジャケットの裏地の仕様

スーツのジャケットの裏地には、主に「総裏」と「背抜き」という2種類があります。

総裏とは、ジャケットの内側全面に裏地が付いている仕様で、保温性に優れていることから主に秋冬用スーツに用いられます。

背抜きとは、肩周りや背中の上部を除いて裏地が省かれている仕様のことで、通気性に優れていることから主に春夏用のスーツに用いられています。

ポケットの形状

ジャケットの腰ポケットの形状にも種類があります。

フラップポケットは、ポケットの入口に蓋が付いたデザインで、多くのスーツに用いられている仕様です。反対に、ポケットの入口に蓋が付いていないデザインをノーフラップポケットと言います。

また、アウトポケット（ハッチポケット）は、ジャケットの生地の上からポケットを貼り付けたデザインで、カジュアルな雰囲気となります。

スラックスのタック

スーツはジャケットだけでなく、スラックスの仕様にもいくつか種類が存在します。

たとえば、スラックスのタックもそのひとつ。タックとは、パンツの前側の生地を畳んだヒダのことで、履いたときのゆとりやシルエットに影響します。

生地が折り畳まれていないノータックはスリムなシルエットで、ワンタックは程よくゆとりのあるシルエットに。ヒダが2つ入ったツータックはさらにゆとりのあるシルエットになります。

スラックスの裾の仕上げ（シングル・ダブル）

スラックスの裾の仕上げも、シングルとダブルに大別できます。

シングル仕上げは、スラックスの裾を折り返さない仕様で、スッキリとした見た目でフォーマルな印象です。

ダブル仕上げはスラックスの裾を折り返した仕様で、シングル仕上げに比べるとややカジュアルな印象になります。

まとめ

今回は、知っておきたいスーツの種類について解説しました。ひと口にスーツと言っても、さまざまなスタイルやデザイン、仕様（ディティール）が存在し、見た目の印象や機能性がそれぞれ異なります。

今回ご紹介した情報も参考に、ご自身の好みに合ったスーツを探してみてはいかがでしょうか。

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